第三章:ND-15 “コントロール可能なエリア”

偽できない理論

これはチェンジ理論の記事です

より番号が若い記事の続きとなります。分からない方はこちらをお読み下さい。

偽できない理論(ND)目次

2019年1月2日

第三章:ND-14 敵でも味方でもない、第三の選択肢

2019年1月16日

103. 内的要因・外的要因・中間要因

 

では、目標設定を修正するための具体的な方法を見ていこう。コントロール三分法という思考技術を紹介する。まずは、ものごとを以下、三つの要素に分類することから始めよう。一つ目は、自分でコントロールできるもの、だ。自分の内側で管理できる、内的要因のことである。FB制御の構成要素を思い出して欲しい。目標設定やアウトプット、インプットが内的要因に当たるだろう。二つ目は、完全にコントロールできないもの、だ。他人や過去、環境など、外側にある外的要因を指す。三つ目が、その中間に位置するもの、だ。関与できないわけではないが、完全にコントロールすることはできない、中間要因である。具体的には、売上や面接の採否など、ものごとの結果がここに位置するだろう。三つの要素の関係性は、ベン図で表現すれば分かりやすい。内的要因と外的要因、それぞれの円が重なり合う部分が中間要因、ものごとの結果である。自身の目標を分類すれば、それが達成可能なものかどうか、分かるはずだ。

 

104.外的要因エリアの目標は”単なる願望”

 

では、外的要因のエリアに目標を立てた場合、何が起きるかを見ていこう。他人、過去、環境に関する目標設定とは、例えば、こういうものである。社員の意識を変えたい。隣人を黙らせたい。政治が変わらなければ。これらは目標ではない。願望だ。結果が出ないのは外的要因のせいであり、それに自分が加担しているということが無視されている。結果に対する主導権を放棄しているのは明らかだ。身近な例で言えば、配偶者を変えたがる人は多い。相手が逸脱行為をしているのは事実、という場合もあるだろう。だからと言ってそれをコントロールすることは不可能だ。集団の利害関係者は、お互いに影響を与えあっている。自分の態度や判断が、配偶者の逸脱行為を強化している可能性もあるだろう。だとしたら、それを改めることが社会的な判断であるのは言うまでもない。このエリアに目標がある場合、回避している自分の課題を見つける方が、先決と言えるだろう。

 

105.中間要因エリアの目標は”リスキー”

 

次に、中間要因のエリアに目標がある場合を考えてみよう。例えば、大会で優勝する、面接に合格する、5年後に上場するというものである。妥当な目標に思えるかもしれない。しかし、いずれも目標としては不適切だ。中間要因は不確定性の強い外的要因の影響を受ける。期待通りにならないのは、むしろ当たり前なのだ。動かせないものを動かそうとすれば、イライラが募るのは当然だろう。恐怖心や不安感、心身の緊張も避けられない。それでも結果に固執する場合、どんな反応が生じるだろうか。達成に駆り立てられるあまり、目標が支配的なものへスライドすることは少なくない。その結果、ライバルの足を引っ張ったり、経歴を詐称したり、経費を水増ししたり。たとえそれがねつ造でも、結果を出そうとするかもしれない。このエリアに目標がある場合、達成のごまかし、結果のねつ造が生じやすいことに注意する必要がある。

 

106.全力を出して思い切り負けてこよう

 

例えば、テニスの大会について考えてみよう。どんな目標設定が適しているのだろうか。大半の選手はこう思っているはずだ。試合に勝ちたい。負けたくない。いずれも中間要因エリアの目標であり、コントロールはできない。例えば、対戦相手がケタ違いの練習を積んでいる可能性もある。外的要因はとにかく予想がつかないのだ。観客やコーチの目も気になるだろう。いつの間にか、勝ちたい、が、勝たなくてはならない、に変わる。心身は緊張し、本来の実力を発揮できないかもしれない。このとき、どう言い聞かせれば、パフォーマンスが最大化するだろうか。例えば、練習の成果を発揮するとか、自分の限界に挑戦するなど。内的要因に関する目標ならどんなものでも構わない。緊張が強いようなら、こう言い聞かせるのも効果的だ。全力を出して思い切り負けてこよう。暗に目標設定を変えるのが指導のポイントである。

107.成功のプロセスはすでに始まっている

 

外的要因も中間要因も、触るべきではない。エアコンのFB制御システムを思い出して欲しい。FB制御の要点は二つ。設定温度と室温の誤差を求めること。それをアウトプットに還元すること、だ。そのためには、中間要因の結果を確認することは欠かせない。結果を見て打ちのめされたり、落ち込んだりする必要はない。極端に言えば、喜ぶ必要もない。つまり、一喜一憂を持ち込むエリアではないということだ。期待から大きく外れる結果でも、淡々とそれを検証すればよい。目を逸らしたくなるなら、恐怖を感じる対象を間違えている。どんな結果でも、目標との差異から目を離さなければものごとは確実にうまくいく。それが理解できていれば、すでに成功のプロセスが始まっていることを信じられる。誰にどんな反応を向けられても動じる必要がないことも分かるだろう。基本的恐怖心をコントロールできる確信があれば、未来に対する安心感と信頼感で満たされているはずだ。

108.内的要因エリアの目標は”遊び”に近い

 

分野に拠らず、結果を出せる人は、たいてい内的要因のエリアに目標を立てる。例えば、練習の成果を発揮する、相手が分かる言葉を遣う、質の高い商品をつくるなど。他人や環境という外的要因に意識を奪われることはない。売上や評価など中間要因に期待することもない。もちろん、イライラや心身の緊張からも解放されている。適度な緊張感を持って、FB制御のサイクルを回すことを楽しんでいるだろう。一度のアウトプットで設定目標をクリアできるとは決して考えない。そのため嫌われる、見下される、軽視されることを恐れたりはしない。どちらかと言えば、遊びの感覚に近いはずだ。もしかしたら失敗さえも楽しんでいるかもしれない。内的要因に対する集中力を高く維持できれば、うまくいくのも時間の問題と言ってよいだろう。

第三章:ND-16 なぜ現代人は怒りっぽいのか?

2019年1月18日

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