なぜあの社員は不満ばかり言うのか?
社員が不満を訴える理由はシンプルです。
もっと私のことを見て!
もっと私を大事にして!
もっと私を必要として!
カンタン、これだけです。
子どもじゃあるまいし、そんなウソみたいな理由で不満を訴えているはずがない!
その反対です。いい大人だからこそ、これら恥ずかしい本心をを言葉にしないのです。
ユニークな役割を確立できているか?
人の精神構造は集団生活に適応しています。
ただ群れるということではありません。それぞれが固有の役割を分業し、一致団結して集団全体を維持することに適応しています。
集団に所属して過ごす上で重要なのは、ユニークな役割を担っているかどうか、です。
ユニークとは、他に類を見ない、唯一無二の、という意味です。他の仲間でもできる、ありふれた役割ではなく固有の役割があること。それが精神的な健全さの指標となります。
それがあるときの人は連帯感や優越感、自信という感情、感覚を感じます。ユニークな役割を確立できていれば、集団から外される心配はありません。安心安全な状態と言えます。
反対にユニークな役割がなければ、孤独感や劣等感、無力感を感じるでしょう。自分がいなくなっても集団が困ることはありません。
いつ外されてもおかしくないのです。危険を感じ、不安な心境で過ごすことになります。
生産的な方法で必要とされるには?
ユニークな役割が確立できず孤独感や劣等感、無力感を感じている人はこう思います。
もっと私を見て欲しい
もっと大事にされたい
もっと必要とされたい
幼児期の子どもが大声を出したり、やっかいなトラブルを起こすのは、一人の存在として見てもらえていない、大事にされていない、必要とされていない、そう感じているからです。
教育者の役割は、泣いたり叫んだりせずに、もっと生産的な方法で、他人から必要とされる、大事にされる楽しさを教えることです。
例えば、弟や妹の面倒を見たことに感謝し、あなたがいてくれてよかった、他の誰でもないあなたにしかできない役割だ、というメッセージを送れば、彼の心境は変化するはずです。
孤独感や劣等感、無力感はユニークな役割を確立するモチベーションになります。それを引き出すのが教育の醍醐味と言えるでしょう。
不満の内容を鵜呑みにしてはならない
子どもですら、注目して、大事にして、必要として、などと言葉では言わないのです。
いい大人がそれを口にするはずがありません。
多くの管理者は不満を鵜呑みにしがちです。
不満の内容を鵜呑みにし、それを解消してあげたとしても、何度でも新たな不満を訴えてくるのは、目的が果たされて射ないからです。
不満の内容は、的を射ているかもしれません。ただし、それを訴えたところで改善するのが不可能なものである場合も多いはずです。
彼らは事実をダシに、注目や大事にすること、必要とすることを迫っているのです。
表面的な言葉ではなく、その裏に隠れている真の意図に気づかなくてはなりません。
まとめ
人は子どもから大人へ変身しているわけではありません。子どもの部分を内包し、社会性という洋服を着込んでいるだけなのです。
ウソをつくのが上手である分、やっかいさは子どもより大人のほうがはるかに上です。
大人のウソは本人さえも騙します。
訴えている本人も、なぜいつも不満が湧いて出るのか、困惑しているかもしれません。
必要以上に不満を訴える社員がいたら、その裏にある真の意図をよく観察しましょう。