メンタルヘルス2.0推進委員会とは?

例えば不安で眠れなかったり、仕事のストレスで憂うつが続くとか、なぜか外出や人間関係が面倒に感じるなど、そのような際、あなたは精神科や心療内科、メンタルクリニックなど医療機関を受診することを考えるかもしれません。

しかしそれらは本当に病気なのでしょうか?

客観的に診断できるものなのでしょうか?

投薬で治療すれば治るものなのでしょうか?

精神的な不調が病気かどうか、一人ひとりが真剣に考えなくてはならない時代が来ています。

例えば、うつ病や不安障害など気分障害の患者数は1996年度で約43万人、それから20年後の2017年は127万人と3倍に増加しています。

急増の開始は2000年、それは欧米の診断マニュアルと向精神薬を本格的に導入した年です。

精神障害全体の推移で言えば、1984年は9万7千人(推定)だったのに対し、30年後の2014年は30倍の約392万人に膨れ上がっています。

それだけ病気が増えた、ずっと見過ごされていた病気が見つかったなどの要素はゼロではないでしょう。しかし感染症でもない病気がこうも短期間で急増するのはどう考えても異常です。

メンタルヘルス2.0推進委員会とは、この異常事態を健全化するために設立された任意団体であり、医療や心理、福祉、産業、教育など様々な分野の専門家によって運営されています。

では、進化生物学や社会学の前提から考える、メンタルヘルス2.0を簡単に紹介しましょう。

人という生物の生態から考えてみよう

人はホモ・サピエンスという生物の一種です。

どんな生物も生存し繁殖するため、それぞれ固有の生態を持っています。集団生活で分業し、お互い生存と繁殖の確率を高めあう。これが人という生物の生態です。表現を変えれば、他人を満たすことで自分を満たすこと。私たちは例外なくこの矛盾した生態に縛られて生きています。他人や集団との関係で悩み、葛藤することは自然、むしろ正常な反応と言えるでしょう。

感情とは反応や行動を動機づける機能

生きていれば、孤独感や罪悪感、劣等感、無力感を感じる機会はいくらでもあります。恐怖や不安、憂うつ、無気力に悩まされることもあるでしょう。これらの不健康な感情や感覚は他人や社会との関係を最適化するための機能です。

例えば、私たちが他人の意見を優先させたり、譲歩や謝罪をするのは孤独感に耐えるよりもラクだからです。もし劣等感がなければ、試験やスポーツ、営業成績で一位を目指して頑張る、というモチベーションは生まれないでしょう。

必要悪の不健康を遠ざけてはならない

人は健康であるために進化したのではありません。楽しく快適に生きるためでもありません。私たちの身体は、脳も含め、生きて繁殖するのに貢献した機能の詰め合わせでできています。

なかには身体の持ち主にとって不愉快な機能もあるでしょう。例えば、痛みや発汗、発熱、筋肉痛は不快をもたらしますが、環境に適応するうえで役に立つ機能的な側面を持っています。

もちろん、不安や憂うつ、孤独感にも役割があります。それらは.止めようと思って止まるものではありません。感情や感覚を意識でコントロールできないのは、発汗や発熱、筋肉痛が止められないのと同じ理由、意識で操作できては困るぐらい生きるのに重要な機能だからです。

こころがデザインされた目的を知ろう

サピエンスは単独生活に耐えられるほど身体能力が強くありません。集団に所属し、他人を満たすことで自分を満たす。それができた人類は生きて子孫を残し、できなかった人類は絶滅しました。私たちは例外なく前者、助け合うことに心地よい感情を感じられた個体の子孫です。

集団に所属し、特定の役割で他人から頼りにされている関係性に安心を感じ、そうでない関係性に危険を感じる。これはヒューマンユニバーサル、つまり、人類共通の機能であり、私たちのこころはそのようにデザインされています。

進化生物学的に考えれば、医療が精神障害と呼んでいるものは、どれも他人や社会に対する不信感、それにともなう生きることへの減退傾向の一表現に過ぎないことが分かるでしょう。

精神の不調は身体と環境のミスマッチ

他人を満たすことで自分を満たす。それが生存の必須条件だった時代はもう終わりました。現代社会は安全で便利、そして快適です。家族や友人を持たず、役割を持たずとも、ご近所と助け合わなくても十分に生きていけるでしょう。

しかしそれは精神的に死んだまま生きることを意味します。私たちはサピエンス本来の生態を無視した生き方を選べる時代に生きています。

人を取り巻く環境がいくら変わろうと、身体の構造や感情の仕組みは変わっていません。身体と環境のミスマッチを考慮しなければ、糖尿病や高血圧のリスクと同じく、精神的な健康を損なうリスクは誰にでもあると言えるでしょう。

診断や治療といった医療的な概念を使わず、日常生活での健全な社会参加を通じて、精神的な不調が生じる必要性をなくすこと。それがメンタルヘルス2.0の基本的な考え方になります。